コボルドの隠れ里

多分TRPGの話とかします

第3回 アサルトエンジン TRPG紹介

読者諸兄は、筆箱やらなんやらに入れていたダイスを家族などに見られて、博打打ちと勘違いされたことはないだろうか俺はちょくちょくある。

コンベンションなどでも、サイコロを振る→ギャンブルをやってる?と勘違いされて出禁になったという話があったとかなかったという話を聞く。

最近ではゲームでもガチャが導入されることが増え、何十万突っ込んだとかよくわからない話を聞く。俺なんかは出るか出ないかわからんキャラのために何十万突っ込むよりキャラシーに書いちゃったほうが確実に手元で動かせてラクなんじゃねえかと思うのだが、TRPGプレイヤーの中にもその手のゲームを好む人は多いようだ。

TRPGプレイヤーはギャンブラーが多いのかもしれない

そんなこんなで、今日は判定の成否にリソースを賭けるシステムを紹介する。

今回はリクエストに応え、「アサルトエンジン」の紹介だ。

ファンタジー風の世界で、「ハイランダー」と呼ばれる超人となり、人類を守護する学園機関アサルトエンジンの一員となり、モルフと呼ばれる怪物と戦って遊ぶシステムだ。

fujimi-trpg-online.jp

確か2012年ぐらいに配布開始したシステムだな。

ゲームデザインは新一郎/bridge-Head富士見書房のサイトで配布されている。

プレイ経験はたしかPL3回だ。

 

①PCまわり

PCは「ハイランダー」と呼ばれる遺伝子異常で戦闘能力が向上した超人だ。

ベースシークエンス(メインクラス)は4つ。グラディウス、サジタリア、エレメンタラー、アンビュラス、要するに白兵、射撃、魔法使い、ヒーラーだ。

先の4+6種類のアザーシークエンス(サブクラス)を組み合わせる方式だ。アザ―専用は速さがウリのニュートリノ光と闇が備わり最強に見えるクロスバイツなどがあるぞ。

割とFEARゲーでよく見る感じの設計思想だな。 HPとMP、ウィル(意志力)の3つがリソースだ。

またハイランダーエクシードと呼ばれる専用の武器が使えるぞ。

 基本的に学年入り乱れたPC達が同じチームを組んで、学内学外問わず舞い込んでくるいろいろな依頼(エス)に挑戦する感じだな。

また強い絆で繋がれたハイランダー同士*1へリックスという繋がりを取ることができる。これでウィルの受け渡しやウィルを使った支援の他、フレーバー的な部分では念話を行うことが出来るぞ。当時は携帯いらねーじゃんやったー!ぐらいに思ってたが、今思うとPL間相談をある程度保障する設定だったんだな。

②ルール周り

判定方法はクトゥルフとかでおなじみ(?)パーセンテージロールだ。ダメージ出すときとかにd6も使うから二種類用意しよう。10個もあれば十分だ。ゾロ目で成功でクリティカル逆にゾロ目失敗でファンブル

ミドルの進行はキャラ作成のFEARっぽさとは逆に、明確なシーン制などのルールは無い。ソドワとかクトゥルフとかの進行に近い形だ。柔軟な運用が出来るやつだな。まあもちろん擬似的にシーン進行にすることも可能だろう。

このゲームの最大の特徴が、自分以外の判定時にリソースの「ウィル」を賭けることができる。(ベットというやつだ)。

判定が成功すれば倍返し、失敗すれば没収だ。

稼いだウィルはリロール(ケタ一つのダイスの振り直し)、サクセス(消費1点=1%成功率上昇)パンプアップ(ダメージ算出ダイス増加)アゲインスト(消費1点につき1点被ダメージ軽減)アディション(追加行動)などいろんな行動に使えるぞ

 このゲームの特徴として、PCの命中力がかなり低い。命中高いキャラでも40%ちょいだ。これを無理矢理ウィルで成功させるというのがこのゲームの駆け引きポイントだ

 

命中率が高い速攻組が稼いだウィルを使って、火力が出る鈍足組がトドメを刺しに行くみたいな役割分担をやろうとしてたのかなと今になって思うな。確かでに速攻組が雑魚散らしで鈍足撃破役がボス殴りみたいな役割分担よりは全員がボス殴りつつ役割分担も出来て個性が出せる設計思想はなかなかよく出来てるんじゃなかろうか。

③世界観

世界観は割とオーソドックスな中世ファンタジー風だ。始祖ジェネシスというなんか超パワー持った奴がいて、そいつの遺伝子を受け継いだ善玉超人がハイランダー悪玉超人がモルフだ。

俺はあんまり詳しくないんだが、鋼の錬金術師とか青のエクソシストとかそのあたりが近いイメージのようだ。

結構大きいファクターとしては学園モノであることが挙げられる。PC達は「人々を傷つけず互いに切磋琢磨し合いながら仲良く人類の守護者として頑張りなさい(意訳)」ぐらいの校則を守りながらハイランダーとしての務めを果たすことになる。銀の懐中時計が身分証だ。

④サポート

ルールブックのPDFがタダで配布されている。ルルブ未所持問題で定期的に学級会が開かれる昨今、*2ネット環境さえあれば誰でもルルブが見れるというのはデカいだろう。

ページ数は全部で40ページ、イラストとかTRPGの説明とか目次とか読まんものを除けば実質30ページもなぐらいいだ。全部読んでもそこまで負担になる量ではないな。

公式サイトではシナリオが13本ぐらい配布されていたな。

一応リプレイも追加データつきで文庫で1冊出ているぞ。

後はオンセ用のキャラクターシート保管庫の機能がむちゃくちゃ充実してるなスキルからアイテムまでデータ部分が全部リストから選択できるぞ

⑤総評

無料かつ文章量が少なめ、ファンタジー風世界で化け物退治という割と王道な作りなあたりから、ファンタジーものが好きな初心者がとりあえず遊んでみる分には悪くないシステムかもしれんな*3事実結構初心者サポートを意識して作られたシステムのようだ。

ウィルの駆け引きは個人的には結構楽しいので、この部分の為に1回遊ぶのもアリだろう。「なんでこのシステム選んだのか」という理由ががここだけで結構賄えるな。

難点としては、戦闘時判定ごとにウィルをベットするのでテンポが悪い、休まる暇がないで不評というのが他の人の意見にはあったな。俺自身は結構他の人の手番もヒマじゃなくて楽しいと感じるタイプだったが、まあその時間で他の人のロールプレイとか見てあげたほうが良いといわれればその通りだ。

重要な判定の時だけ賭けるみたいなシステムでよかったのではという評価もあるが、それはそれで味気なさそうだ。

ウィルにはラストウィルといって10点のカイジのワンポーカー編の赤ライフみたいな予備ストックがあるんだが、これも正直赤ライフ並にポンポン賭けることになるんでなんだかなあという感じだ。

PC達が学園機関生徒というの設定の割に、敵である怪物モルフを倒しに行く関係で活動場所が基本学外ばっかりだから、学校が舞台になることが少なく学園モノ感が薄いのも微妙な理由かもな。服をすぐ脱がすコスプレものAVみたいだ(問題発言)。

単発で時々やると楽しいんだけど、データとかが少なすぎてキャンペーンとかで定期的に遊ぶのに向かないのも定着しなかった一因かもしれんな。

楽しいシステムだけど、なんか惜しい感じはするな。

面白そうだと思ったらPDFだけ落としてみてもいいんじゃなかろうか。システム自体の展開はとっくに止まってるが、依然としてダウンロードは可能だ。タダだし

 ユーザーが止まんねえ限り…アサエンは続く…だから…止まるんじゃねえぞ……

フリージア

フリージア

 

満足度:75%

おすすめ度 ☆4

個人的好み ☆4

こんな人におすすめ

・ギャンブラー

・今月財布がピンチだけど新しいシステムで遊びたい

・シーン制が嫌い

・厚いルルブを読みたくない

 遊び方の例

一番印象に残ってるのはなぜか西部劇風のシナリオだ((中世ファンタジーはどこ行った))。俺のPCは銃使い射撃キャラのクロウ君だ。自分の速さに自信を持ってるトリガーハッピー気味のぶっきらぼうなライバル系PC②って感じの少年だ。

「射撃キャラは行動値が高い」の法則に従い、結構行動値が高かったんだが、イニチアチブで転校生の女性PCに速さで負けて2番手になってしまった。この瞬間から「ああ~??転校生だぁ~~??気に入らんなぁ~~??」とかやろうとしたところで背後を取られて「なん…だと…!?」みたいな方向性にシフトしはじめ、キャラクター紹介の時点で既に1敗することになった。

それ以来、重要NPCのガンマンの尾行時にファンブル振って背後に回り込まれ(2敗)ことあるごとに「なん…だと…!?」を連発することになったクロウ君であった。

戦闘時は命中が高かったのでそれなりに活躍できたぞ。

BLEACH―ブリーチ― 74 (ジャンプコミックス)

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この「背後を取られる」ムーブ、「ひと笑い取る」「他のPCを立てる」「関係性を築くことで自分のキャラ建てもする」の3つを一気にこなせて結構便利なのでオススメだ。

*1:要するにPC間同士

*2:TRPG界隈は特別学級なのだ

*3:少し重いことと、展開が終了していることを無視すればの話だが