コボルドの隠れ里

多分TRPGの話とかします

TRPGオタの俺が女子高の文芸部の顧問になって困達とセッションするハーレムラノベ 第三章

 3-1 このtrpgの本当の強者の歴史から始めます!!

ここらで一つ、俺なりにTRPGというもののオリジンを振り返ってみたいと思う。

 論文における「背景」パートだと思ってくれ。ぶっちゃけ、俺が見聞きした情報を寄せ集めただけだから、正確性にはあまり自信はない。

  発祥となった舞台は1970年代のアメリカだ、と俺は聞いている。アメリカ人達は兵隊さんのメタルフィギュアをコレクションしていたらしい。シックスセンスの子供が宝物にしてた兵隊さんのアレだな。

 最近では日本でもまたウォーハンマーみたいなミニチュアゲームがヨドバシカメラに出てくるぐらいにはブームみたいだな。(売れてるのだろうか?)

 このミニチュアを戦わせて遊ぶウォーゲームのローカルルールが、TRPGの基盤になったらしい。『ウォーゲームでいい感じに試合を盛り上げて、なおかつ上手に負けるプレイヤー』がいて、ただ南北戦争ごっこするだけだった時代から、駒にキャラクター性という個性を付けて、物語性を重視する遊び方へとシフトしたらしい。

 海戦シミュレーションのゲームの駒を、軍団や兵器から個人にしてキャラクターにスポットライトを浴びせるようにしたところが始まりのようだな。

 この遊び方を受けて、1974年、ファンタジー世界を舞台にした原初のRPG『ダンジョン&ドラゴンズ』が完成したそうな。開発者のゲイリー氏は5児のパパンなのだが、なかなか夜な夜な家に帰ってこないゲイリー氏を、嫁さんが浮気してると勘違いして現場を抑えようとしたら、単に男だらけて徹夜でボドゲやってただけだったり、会社のプリンターで同人誌刷ってみたり、娘の彼氏をセッションに誘って始めたキャンペーンが娘と彼氏との関係よりも長続きするなど、謎のエピソードがてんこ盛りのゲーム狂というなかなかアレな人だ。某Fの付く有限会社の社長といい、TRPG会社の社長は子だくさんになる傾向にあるのだろうか。統計を取ろうにもn数が少なすぎて何とも言えないが。

 D&Dは当時ブームだった指輪物語の世界をモチーフにしたゲームだったようだ。ゲイリー御大自身は蛮人コナンとかそういう路線のファンタジーの方が好きだったらしいが。現代日本が発祥だったらなろうラノベっぽい感じになるんだろうか。異世界転生路線でアリアンロッドが失敗したらしいが。



 このダンジョン&ドラゴンズが日本に持ち込まれ、日本でもRPGの歴史が始まったようだ。日本でも遅れてファンタジーブームが起こり、富野由悠季御大の作った異世界転生ロボアニメというオーパーツ聖戦士ダンバインに一年遅れ国民的RPGと呼ばれる『ドラゴンクエスト』が発売されたようだが、「ドラクエ」についてはもはや解説することもないだろう。ぶっちゃけ、日本じゃTRPGよりもコンピューターRPGの方が流行ったみたいだな。

 平成元年には俺はやったことが無いが初代ソードワールドが発売され、圧倒的シェアを誇っていたようだ。リプレイが非常に売れていたようだ。実はこのリプレイは日本発祥だったりするそうだ。Q&Aブックの清松先生の「常識で考えてください」が非常に印象的だったな。空想科学読本のようだった。そういえばと学会の会長山本弘センセもSNEの人だしな。ピュリフィケーションで血液真水化して一撃必殺してやろうとか花凛が見たら喜ぶかもしれないな。スリープしたキャラクターを水に沈めるとどうなる?みたいなQ&Aは「水の中で眠り続ける少女、美しい」水野先生と「普通に死ぬだろ」の清松先生の作家性の差みたいなのが見えて面白かったな。

 90年代末、TRPGは冬の時代を迎えたという。マジックザギャザリングとかとブームがかち合ったり、ネトゲが台頭してきたり、大量に作られ過ぎて粗製乱造で品質低下が起きたのも原因らしいな。当時はマギウスのエヴァTRPGとかあったようだ。リプレイは面白かったな。

 少し前までは、日本のTRPG界隈はグループSNE、FEAR、冒険企画局の三社が主に出版をしていたようだが、現代はそこに同人TRPGがシェアとして新しいブームとなりつつあるようだ。バーチャルyoutuberなんかもしばしばクトゥルフで遊んでるのを見かける。

 

 また2007年には動画サイト『ニコニコ動画』が生まれた。これの解説も必要だろう。

 最初期はyoutubeからの違法転載が主だったようだが、二次創作、料理の動画から面白いバカまで、何でもありの無法地帯だったようだ。俺は『例のアレ』大好きだが。御三ゲイとか是非履修してほしい。

 その一ジャンルとしてゆっくりボイスを用いてゲームなどを実況するゆっくり実況動画が生まれ、その中でもTRPGを実況する動画も生まれたようだ。

 ゲイリー・ガイギャックス氏が亡くなった年、2008年に販売されたソードワールド2.0をアイドルマスターズのキャラクターがプレイする卓M@Sシリーズなんかが人気だったようだな。

 ゆっくTRPG系の中でも一段人気だったのがクトゥルフものであるようだ。かなり人気のあった某動画は版権関係でいろいろあったようだがここでは詳しく触れるのはやめておこう。最近では肉声セッションのリプレイなんかも出てるようだな。

 現代ではRTAをエンタメ化したbiimシステムやボイスロイド実況とかが人気があるようだな。MTG×ボイスロイドの動画とかが地味に増えているようだ。今はマジックアリーナとかも出てるしな。

 宣伝ばっかに力入れて動画周りの機能を改善しない企業体質のせいでオワコン化が激しいが、まだ面白いものも残っている。



 そして時代はツイッターへ。

 SNSにおけるTRPGの募集も、いろんなところでされるようになっていったようだ。

 現代日本では、ネットの普及によりオンラインでのセッションが幅広く親しまれている。

世界最大のオンセ募集サイト、ツイッターでは今日においてもしばしばセッションの募集やTRPG学級会など様々な議論(痴話ゲンカ)が交わされている。

 非常に有用なオンラインセッション用ツール「どどんとふ」がオンラインでのセッションのハードルを下げたようだ。便利だ。どどんとふも2020年にはFLASHの終了とともにサービスが終了するとのことだがな。跡目争いが続くだろう。

 体感ではここ数年はコンベンションなんかも勢いが増している。多くのセッションが同じ会場で行われるという不思議な空間だ。

 ぶっちゃけ、同じ会場でセッションをたくさんやる意味はあるのかというのは疑問だが、おそらく「人」に意味があるのだろうな。

 このあたりが今日のTRPGの情勢と言って良いだろう。

3-2 あなたを『校則違反』と『賭博罪』で訴えますッ!

 職員室である。

 というわけで、今日も文芸部室に向かおうとしたのだが、いつもはあまり話さない上司の先生に声をかけられた。

「十文字先生、生徒達と賭博行為をやってるって本当ですか?」

「ファッ!?どういう意味ですか?それ?」

「いや、文芸部室で先生たちがサイコロ振ってるのを見たという噂を聞きまして…」

 ああ、なるほど。何らかの理由でセッションの際ダイス振ってるのが賭博行為と勘違いされたのだろうか。

 昔、父に筆箱にダイスを入れているところを見られて「おめえの筆箱はバクチ打ちの筆箱か」と言われたことがある。おそらく世間から見て多面体ダイスを持ち歩いてるのは博徒(九割)かMTGプレイヤー(九分)かTRPGプレイヤー(九厘)ぐらいの割合だろう。

 D&Dも登場当時は新しい娯楽が理解のない人間から犯罪の原因だとやり玉に挙げられることが世の常であるように、やはりその手の団体に叩かれていたようだ。悪魔崇拝を助長するゲームとか言われてたみたいだな。

 現代日本におけるTRPGも未だ世間に浸透しているとは言い難い。歴史は繰り返す、ということだろうか。

「いや、私もこんなことはやりたくないんですけどね、立場上、監査しなければいけないので。まさかとは思いますが、十文字先生、されてませんよね?ギャンブル」

「いや流石にやりませんって。懲戒免職になっちゃう」

 どうやら思わぬ形で生徒指導の先生の手を煩わせてしまったようだ。非常に申し訳ない。

「少しこの件についてはお話したいので、後ほどお時間よろしいでしょうか」 

「……承知しました。説明すると長くなるので、ちょっと考えをまとめておきます」

 

「あ、先生、ごきげんよう!」

 真っ先に挨拶をしてくる月子。アイサツは大事。忍殺にもそう書いてある。

「ああ……」

「先生、なんだか悩まれてるご様子ですが、何かあったのでしょうか?」

「お前たち……もしかしたら、もう部室でセッションは出来なくなるかもな」

「え!?マジ?ヤバいじゃん!なんで!?」

驚いた声を上げるふわり。目がまん丸である。

 

「……というようなことがあってな」

「なるほど」

「お前たち、何か原因に心当たりはないか?」

「山吹さんが授業中内職でキャラクターシートを書いてるところを見つかってしまったようですが、関係ありませんよね?」

 …いや、どう考えても原因はそれだろう。

「……先生に怒られて、TRPGっていうゲームだって説明したら、もっと怒られてた」

 そうだな。普通に校内はゲーム禁止だもんな

「筆箱の中の大量のダイスを見られたのも良くなかったようです」

 そうだな。普通の人が思い浮かべるサイコロ使うものといえばチンチロだもんな。普通そんなことするのはカイジ読んだアホな男子中高生ぐらいなもんだ。

「はぁ~~~.....このおバカ…」

 思わずクソデカため息が出てしまう。

「えへへ、バレちゃった」

懐かしの「てへぺろ」をやるふわり。

「お前なぁ……」

「ごめんゴローちゃん」

「しょうがねえ。じゃあちょっと裁判行ってくるわ」

「んじゃ、頑張ってね、ゴローちゃん」

「頑張ってじゃねえよお前!おめえもがんばんだよ!」

ふわりを連行しつつ、俺は裁判所もとい会議室へと向かった。

 

 全体的な職員会議を開くほど先生方も暇ではないので、部活動を総括している生徒指導の先生と校長とふわりと俺の四者面談となった。

「で、先生はそのTRPGというものが教育上有意義である、といいたいのですか?」

「……主訴としては、そういうことになります」

 先生方にTRPGの歴史についてザックリとプレゼンをしてみた。ワンチャンあるのは、正直こういう方向性で攻めるぐらいしか俺には思いつかなかった。

「授業中の内職を助長するものが健全とは思えないのですが……」

 生活指導の先生の最もなツッコミが入る。

「いやそこは本当に申し訳ございません」

「いや~すみませんうちのゴローちゃんが…」

 お前も謝れや!

 とにかく、ガイギャックス御大は、「RPGは正義の力が悪の力に勝つ事を教えてくれる」みたいな感じのことを言っていたらしい。

「でも、私は正義だとか道徳とか、そういう大それたことを言うつもりはないです」

「ほう?」

「ただ……うまく言えませんが、協調性とか、友達の大切さとか、そういうものなら身に付くと思います」

 これは、単なる俺の実感だ。

「ほう……」

 先生方は吟味するようにこちらを見られていた。どう、評価されているのだろうか。

「……俺から言えるのは以上です」

「……わかりました。これにて解散とします。結果は後程通知いたしますので」

 会議部屋を後にする。今は、今後の活躍を祈られないよう祈るだけだ。



「はぁ~疲れた。何とかなって良かったよ~。やれやれ」

 やれやれ系主人公ごっこをするふわり。今回お前クレヨンしんちゃんみたいだなお前な。

「……お前自分がなにしたかわかっとんのか」

「えへへ、ごめんて」

「いいか、ふわり、出来る範囲でいいから人の話はちゃんと聞け。TRPGでも、普段の人間関係でも基本だぞ」

「はーい、わかってまーす」

 クソテキトーに返事をするふわり。お前ホントにわかっとんのか。

 それはともかく、今回の裁判の結果はどう出る事やら。あとで占い感覚で振った2d6はの出目は8だったので、期待値(5とか4とか諸説あるが)より高いし成功寄りだよな、これ?まあ実際の結果は待つしかない。

 

 もし今回の出来事がTRPGのセッションなら、「もしTRPGを一緒にやっていただいて、これが教育上有意義と今後の部活動でのセッションを認めていただけますか?」

『いいでしょう、そのかわりあなたが負けたら文芸部は即廃部!あなたは残業2倍ですよ、十文字先生!』みたいになるべきところだったのだろうが、残念ながらそんな登場人物が全員TRPG脳のホビーアニメみたいな面白展開になることはなく、セッションをやるのは部活中に限ること、授業中にキャラシート書くのは禁止(当然ではある)などいくつかの制限付きでセッションは許可されることになった。まあ部員が一定数いて顧問が確保できている部活がいきなり廃部になることはなかったようだ。

 とある少年の死亡事故によって、自殺を助長するゲームとしてバッシングされていたD&Dだが、一説によると、その時に行われたアメリカのある調査によれば、TRPGプレイヤーは一般人に比べて死亡する確率が低いそうだ。そしてこの反対運動は主導者がガンで死亡したことにより収束したという。つまりこれが何を意味するのかというと、TRPGは今はガンには効かないが、いずれ効くようになるということだ。

 今回のケースも、似たようなものだろう。反対派はガンで死んでないが。真面目に仕事されていただけの先生がいきなり死なれても困る。

 あとで聞いたところ、「いつも死んだ目をしている十文字先生があんなに熱く何かについて語ってるの初めて見たし、説明が分かりやすかった」ということで認めて頂けたようだ。「そこまで情熱を割けるものなら、文芸部らしさもあるし許可しよう」ということらしい。ご都合主義である。(その後に小声で聞こえた「普段の授業でもこの説明能力を発揮してくれればね…」はちょっと傷ついたが)もしこれでやろうとしてたルルブの表紙がBBTとかだったなら流石にアウトだっただろう。危ないところだった。サンキュータッコ。

 

 この一件を受けて、ふわりのヤツもちゃんと真面目に授業を受けるようになって……なかった。アイツシャーペン握りながら居眠りしてやがる。チョークでも投げてやろうか。

 そう思ったが、ヤツのよだれで汚れていたノートには板書の形跡があったため、チョークを投げるのはやめておいた。